for Startups Tech blog

このブログのデザインを刷新しました。(2023/12/26)

【フォースタ テックブログ】デザインスプリントをやってみて開発チームの目線を整えた話

 

はじめに

こんにちは!フォースタートアップス / テックラボ * の藤井(@yutafujii)です。
社内向けのプロダクト「タレントエージェンシー支援システム(SFA/CRM)」*のサーバーサイドエンジニアとして日々活動しています。

*テックラボ…テクノロジーとデザインによってfor Startupsをグロースさせるチーム
*タレントエージェンシー支援システム(SFA/CRM)…日本を代表するスタートアップと、それを加速させることができるタレント(才気あふれる人々)とのより多くの対話の機会を創出するための「マッチングプラットフォーム」

これまで少人数のエンジニアでスピードや機能を優先して開発を進めていたのですが、弊社にUXデザイナーが入社してきたことをきっかけに、プロダクトが巨大化する前ということもあり一度立ち止まってデザインスプリントを行うことにしました。

ここ数年で普及したデザイン思考、デザインシンキングをエンジニアが取り入れることで、

・プロダクトの目指すべきゴールを再度確認すること
・一つ一つの開発がきちんとゴールに向かっていると確信を持ちながら実装できる状態にすること

を達成したいと考えました。

デザインスプリントとは

デザインスプリントは一言でいえば「ビジネス課題に答える5つのプロセス」です。
デザインシンキングを取り入れて目的を達成しようとするアプローチのため、この名前がついています。

GV(Google Ventures)が提唱したプロセス(https://www.gv.com/sprint/)であり、UXデザイン・プロトタイピング・ユーザーテストをアウトプットとして、学びという新たなインプットを得る流れになります。

ソースコードは1行も書きません

デザインスプリントは一般的に、5日間、つまり丸一週間分をかけて行います。その概要は大まかに以下の通りです。

Day1: 意識合わせ・課題マップの作成・取り組む課題の選択

Day2: ソリューション出し(知の探索)・スケッチ・最終日にインタビューするユーザの選定

Day3: ソリューションを絞る(午前)・うまくいった姿までの過程をイラストに並べる(午後)

Day4: プロトタイプ作成(コーディングせずにUIデザインツールを使用する)

Day5: プロトタイプを用いたユーザーインタビュー・学び

プロセスが用意されていれば当然ながら各プロセスごとに道具(ツール・フレームワーク)もあります。
デザインシンキングの文脈で有名な Empathy Map もその一つです。
実際に行うときは、個別の事例に沿ってアレンジを加えると良いでしょう。

 

なぜやるのか

元々デザインスプリントは事業課題の答えを早いサイクルで見つけ出すことに適しています。

実際にコードを書かずに思考・プロトタイプ・ユーザーフィードバックにより仮説を検証するサイクルは魅力的なアプローチでしょう。

ただし私はそれに限られない良さがあると考えています。

それは、このプロセスを通して

・プロジェクトの目標の共有
・メンバー同士の考えや思考法の相互理解

という側面で効果があるためです。プロジェクトのブラッシュアップだけでなく、スタートアップなどの組織づくりにも有用です。

 

いつやるべきか

教科書的には、新たなプロダクトを実際にエンジニアが開発する「前」がベストなタイミングになります。
ただ、すでにプロダクトがあるという場合でも、例えば以下のような時には効果があると考えています。

・プロダクトが目標とする1年後の状態をすぐに言えない
・(技術的に)できることばかりを優先して開発している
・開発工数が小さい事項ばかり実装していることが2ヶ月続いている
・優先順位付けを行った結果のバックログが、プロダクトOKRのKRに貢献するものに見えない
・ユーザーのペルソナを聞くとメンバーによって回答がバラバラ。またはすぐ答えが出てこない
・ユーザーの課題を「それはまるで○○のよう」と身近な行為で例えてもらったときに回答がバラけてしまう。またはすぐ答えが出てこない
・とりあえずユーザーヒアリングを終えた
・チームメンバーが急激に増えている

など

 

ミニ・デザインスプリント

今回チームで実施したのは、このミニ版のようなものです。

1.事前に行ったユーザーヒアリングの内容を集約する
2.UXデザイナーが「一人デザインスプリント」を実施して叩き台となるレポーティング資料・ディスカッション資料を作る
3.チーム全員で資料の中身を議論する。発散して、収束させ、お互いの認識を"同期"させる

フレームワークに従ってレポートまで作ってくれたデザイナーさんに感謝です!

 

ゴール

最初にデザイナーが示したゴールはこちらです。

「メンバー全員が事業の目的・事業課題・プロダクトビジョン・ペルソナを共通認識として持つこと。誰に聞いても同じ答えが返ってくることで、新規メンバーとも課題や目的を共有出来る」

ちなみにこのゴールはとても重要で、起業家が集うBARで、とあるCTOに「まずはとにかくユーザーを知ること。徹底的に足を運び、エンジニアの誰に聞いても全く同じペルソナが返ってくるような状態にしなさい」と言われました。

 

雰囲気作り

見落としがちですが、雰囲気作りはとても重要です。

ゴールを達成するためには参加者に対してどのような姿勢で望んで欲しいのか、どのような行動を望むのかを最初に共有するとすごく良いです。

また、それをサポートするような小物を用意することも大事だったりします。

今回のゴールは「共通認識を持つこと」なので、ちょっとでも意見が違ったり違和感があったら遠慮せず発言することが望まれます。

本心で腹落ちしていないまま終えてしまっては本当の意味で「認識を共有した」とは言えません。

 

そしてそのためには(1)意見を言える気楽さ、(2)柔軟な発想ができる環境を用意した方が良いと考えました。

そのために私たちが行ったことは次のことです。

・ちょっと息抜きをしたくなるおやつ時に実施した(15時からスタート)
・お菓子を事前に持ち寄って(一人で食べきれない結婚式の引出物とかも笑)テーブルに並べた
・食べながらでOK
・もちろんコーヒーも準備
・地べたに座ったり、机に座ったり、立ったりして参加してOK
・発言をとにかく褒める
・ジョークもいれてみんなで笑う、面白いトピックもいれる
・大きな画面を使う

 

使用したフレームワーク・ツール

ざっくりとこんなフレームワークや資料を使用しました。

・User pains
・State it Simply
・Persona
・Empathy Map
・Story Board
・Hills

 

User pains

今回はミニ・デザインスプリントなので、最初にユーザーヒアリング結果をUXデザイナーへ渡しました。
こんな感じで機能要望がざっと40個ほどカテゴリー分けされて並んでいました。

 

State it Simply

・What we do?(それを5歳児にわかるように)
・Who is the users?
・What is their pain?
・What is our business for?

この辺りを言語化します。
この部分はどのくらい先まで見据えるかによっても書く内容(ビジネスの展望や新たなステークホルダーをユーザーにする長期戦略など)が異なってきますが、目先1年くらいにするといいと思います。

もちろん、全社の長期戦略からバックキャストし、プロダクトの長期ロードマップを作って認識共有することも大事なので、それは別途行いましょう。

意外と盛り上がるのが「 ”何をするのか” を5歳児にも説明できるように」だったりします。余分なところが削げ落ちて、動詞や名詞が研ぎ澄まされていくのがわかると思います。

Pain(課題)を考える時も、「それはまるで○○のようだ」と表現することを意識する。

私たちがデザインスプリントを実施したときには

・「それはまるでパズルのピースを埋めるような状態だ」
・「それはまるで料理を30個同時に作っているような状態だ」

などの意見が出て、結局

・「それはまるでパズルを10個同時に作っているような状態だ」

となりました。

 

Persona

ペルソナを設定します。

家庭環境・育ち・趣味・仕事への姿勢や性格などを具体例を含めながらその人のイメージが湧くまで書いていきましょう。

箇条書きで大丈夫です。

その人の名前もつけておくとその後何かと便利です(私たちは山崎翔大さんと飯山美咲さんというペルソナを作り上げました)。

実際には、この部分が最も大事です。

プロダクトによっては複数タイプのユーザーを抱えることがあると思います(プラットフォームがその典型)。その場合はそれぞれについてペルソナを立てて進めましょう。

 

Empathy Map

次に、山崎さんや飯山さん(=ペルソナ)が”言いそうなこと”、”やりそうなこと”、”考えそうなこと”、”感じていそうなこと”を書き表していきましょう。

特にTHOUGHTとFELTの部分は、なぜそれらが表に出てこない(口に出したり、行動にならない)のかを深く考えてみることが大切です。

 

Story Board

今のペルソナユーザーの状態(課題を抱えた状態とします)から、ユーザーが為したいことに至るまで、プロダクトがどんなふうに関与していくかを4コマ漫画的に絵と端的な言葉で書き表していきます。

私たちは6コマを用いて、今のユーザーが “こうして、こうして、こうなって、こうなって、ゴールの姿になる” 、という過程を描きました。

*引用元:https://uxdesign.cc/how-to-storyboard-experiences-fc051e2bc04d

 

Hills

プロダクトによって「誰が(Who)、どんな感じに(Wow)、何を(What)達成してる」のかを改めて考えます。

最も大事なのはWowです。Howではありません。

方法論から考えるのではなく、状態から考える。

描いた理想像では、ユーザーが「どんな気持ちを持って」「どんな感情で」成し遂げたかったコトを達成しているのだろうか?そういった視点が求められます。

どういうことか、少し思考例を示します。

 

例)30分かかるMRIでじっとしていられない子供に、MRIを受けてもらうには?

→ 鎮静剤を打つ(How)のではなく、MRI室を海賊船のようにして楽しみながら受けてもらおう(Wow)

ちなみにWowを考えるというのは、グロースハックでも出てくるアドバイスです。
ユーザーにとってのアハ・モーメント* の発見がPMF達成のサインといってもよいでしょう。

*アハ・モーメント…プロダクトの価値をユーザーが最大限に感じた瞬間

 

イデアリストの順位付け

ミニ・デザインスプリントでは以上を元にして、ペルソナとしたユーザーがStoryBoardに出てくるゴールの姿になるためのアイデアを出しました。

最後にそれらを、縦軸に各アイデアインパクト、横軸に効果の不確実性を描いてそれぞれのアイデアがどのあたりに位置するかマッピングしました。

当然ながら「インパクト大・確実性が高い」というゾーンが優先的な開発事項ということになります。

これらを見つめ直したところでスプリントを終了し、ちょっとした振り返りを行いましょう。

 

やってみてわかったこと

シンプルな本質を見つめることができる

今回4時間をかけて実際にやってみて、最初に感じたのは自分たちが何を作っているのかをちゃんと言語化できていないということです。

何となくでは説明できたけれど、「それって何?」のように1つ突っ込んで質問されるとスラスラと答えられなかったり、参加したエンジニア4人の認識や想いが完全に一致しているわけではなかったり…。

“誰に聞いても同じ答えが返ってくること” という状態を実現するには膝を突き合わせる時間と議論のフレームワーク(=デザインスプリント)がとても有効だと感じました。

 

Vision Driven

また、みんなで話すと自分の考えやチームとしての見解がどんどん研ぎ澄まされるというのも全員で実感しました。

 

この過程で最も重要な役割を果たしたのがMission, Vision, Valueです。

何度も何度も

「でもそれはMissionにある○○に添わないよね」とか

「私たちのMissionは○○だから、5歳児に説明すると○○な感じかな?」とか

「あの時CEOが○○って言ってたのを踏まえて○○の方がフィットする」とか、

会社として実現したい世界や数年先のゴールを意識して目の前に落とし込むことができました。

フォースタートアップスでは1週間に1回は全社MTGでCEOより、熱意や今の想いが聞けますし、毎週Slackでも欠かさず “今、考えていること” を共有してくれます。

そういうカルチャーにもとても助けられました。

 

フォースタートアップスのMVV (出所:会社HP

 

The Team

実際にやってみて、デザインスプリントはチームそのものを強くすると感じました。

私たちは普段からコミュニケーションがとても活発なチームだと思ってはいますが、プロダクトの本質やゴールを何時間も使ってみんなで議論すると、お互いをもっともっと深く理解することができます。

部活の合宿のような感覚で、長時間すぐ傍で過ごしてチームとして強くなるイメージかも知れません。

中には意見に相違があったり考え方が異なる部分もありますが、「同意」できなくてもいいのです。「理解」することがとても重要です。
お互いを知り、理解し、その上で一つの方向を向く。仲間を信頼する。

そのためにもデザインスプリントはいい時間になるはずです。

最後に

長々と書かせていただきましたが

社内向けのタレントエージェンシー支援システム(SFA/CRM)についてデザインスプリントを行った感想でした。

私たちは、日本を代表するスタートアップと、それを加速させることができるタレント(才気あふれる人々)とのより多くの対話の機会を創出するための「マッチングプラットフォーム」を創るという壮大なプロダクトを作っています。

試行錯誤しながら、日本から世界で勝つスタートアップ支援を行っていきたいと思います。

【フォースタ テックブログ】RailsのAutoloadingをClassicモードにしていたらエラーに悩まされたのでZeitwerkモードに移行した話

 

こんにちは。エンジニアの藤井(@yutafujii)です。

今日は、RailsのAutoloadingとReloadingについて解説しつつ、これにまつわる設定ミスでdevelopment環境においてエラーに悩まされたというエピソードをご紹介します。

AutoloadingとReloadingって?

RailsのAutoloadingとReloadingという言葉を、より実務上のありがたみとしてイメージできるように素朴な疑問から考えてみたいと思います。

なぜRailsではrequireを書かなくてもよいのか?
Rubyでは他のファイルを読み込む時には当該ファイルを明示的にrequireしておく必要があります。ところがRailsではモデルでもコントローラーでも、requireを書かずに多くの処理がうまく動きます。

これは、RailsRubyのメソッドをオーバーライトしているためです。具体的には、Moduleクラスのconst_missingというメソッドを上書きしています。このメソッドはメモリ上にロードされてない未知の定数を参照したときに発火するのですが、RubyではNameErrorが出るのに対して、上書きされたRailsのconst_missingではエラーを出す前にその定数が定義されていそうなファイルを推測して自動で探すようになっています。だからAutoloadingと呼ばれています。なお、自動で探す範囲はautoload_pathという変数で管理されています。

そしてもうひとつの疑問。
なぜRailsで開発しているときにファイルに加えた変更がすぐ反映されるのか?

例えばの話ですがproduction環境で稼働しているサーバーに入り、Railsのコントローラーのファイルを書き換えたとしても、その変更はサーバーを再起動しない限り反映されません。しかしdevelopment環境だとファイルを修正すると画面をリロードするだけでその変更が反映されます。Railsがこのような開発体験の良さを実現しているのは、development環境ではファイルの変更履歴をウォッチして、変更を検知したらサーバーが次のリクエストを受理したときに当該ファイルを読み直せるようにしているからです。これをReloadingと呼んでいます。

RailsがAutoloadingとReloadingのためにしていること

概略は説明した通りですが、コードベースでも該当箇所を紹介しておきます。
Autoloadingで説明したconst_missingメソッドのオーバーライトはActiveSupport::Dependenciesというモジュールに記載されています。

また、Reloadingで説明したファイルをウォッチしているというクラスはActiveSupport::FileUpdateCheckerというもので、そのexecuteメソッド(端的に言えばここで変更が生じているファイルをメモリからアンロードする)をコールしているのがRails::Application::Finisherというモジュールです。

Reloadingについて説明を加えると、このFileUpdateCheckerがautoloadされた定数を一旦全てアンロードしますので、次のサーバーリクエストの処理において変更を加えたコントローラーやモデルが参照されると、const_missingが発火してAutoloadingされ、結果として修正後の内容がロードされるという仕組みです。

設定を間違えたらdevelopment環境で見知らぬエラーが

正直に言って、こんなRailsの仕組みを理解したうえで実務の世界に入ったわけはなく、エラーに遭遇して初めてちゃんと調べただけです。

ここからはそのバグについてご紹介します。

私が入社した頃はRailsフルスタックのフレームワークとして利用していたのですが、途中からVueやNuxtをフロントにしてAPIサーバーとしての機能に集約してきました。そうした開発を進めていくなかで、development環境において次のようなエラーが出るようになりました。

A copy of Api::One has been removed from the module tree but is still active!

Api::Oneのコピーはモジュールツリーから削除されたけどまだ利用されています。」とでも訳すのかもしれないですがエラーメッセージの言っていることがイマイチよくわからず、backtraceをみたのですがアプリケーションのコードに到達する前のRailsのコードでエラーになっていたので、これは少し根が深そうだと思ってGoogle検索を頼りました。

同様のエラーに関する記事はいくつか見つかったのですが、実際に効果があったのはdevelopment環境のconfigを変更するという対処でした。

config/environments/development.rbにおいて「クラスをキャッシュしておくか」という設定(config.cache_classes・config.action_controller.perform_caching)をtrueにすることで確かにエラーは出なくなったのですが、これは一度ロードしたクラスをキャッシュし続けるという設定なのでReloadingが効かなくなり、Rails部分のソースコードは(より厳密にはautoload_pathに含まれるファイルは)変更するたびにアプリケーションサーバーを再起動しないと内容が反映されなくなります。

これは開発体験が非常に悪いので、Railsの仕組みを調べながら、根本原因を探していきました。

結論として、エラーの直接的な原因はdevelopment.rbの別の設定にありました。

「クラスのリロードを変更があった場合に限定する」という設定(config.reload_classes_only_on_change)がfalseになっていたために、ソースコードを変更しなくてもリクエストの都度autoloadされた定数を全てアンロードしていました。

この設定そのものが問題ではないのですが、フロントエンドをコンポーネント化してきたことと複合してエラーを生じさせていました。

すなわち、コンポーネント化されたページを開くとページロード直後にJavaScriptが複数のリクエストをほぼ同時にAPIサーバーへ送る状況が生まれたところ、前述のRailsの設定が理由でAPIサーバー側ではリクエストの処理前にautoloadされた定数が全削除され、その結果全く同じモジュールのAutoloadingが2本同時に走るRace condition(競争状態)が発生していました。同一モジュールのRubyオブジェクトが2つできてしまったことで、処理途中のequal?評価(RubyではオブジェクトIDの一致を確認するメソッド)がfalseになり、くだんのエラー

Api::Oneのコピーはモジュールツリーから削除されたけどまだ利用されています。」

が表示された、というわけです。

ちなみに、実際にエラーを起こしたのはルーティングからコントローラーを取得する処理action_dispatch/http/request.rbのcontroller_class_forという部分でした。コントローラー名の文字列から定数を取得するRailsのconstantizeメソッドでコントローラーを示す定数(例えるならApi::Parent::ChildController)をAutoloadingする時にエラーになっていました。

なぜこのような設定になっていたのか

ところで、問題の一因となったconfig.reload_classes_only_on_changeの設定はRailsプロジェクトの初期値がtrueなので、なぜこれがfalseに変更されたのか気になりました。

この変更は3年前に行われており。当時のプルリクにも多くの情報はなかったので推測ではありますが、事の発端はApplicationというモデルを作成したことだったと思われます。

当社のシステムは人材紹介業に関連するものであるために、”応募”の英訳にあたるApplicationという単語をモデル名で利用していました。しかし想像がつくようにApplicationというクラスはRailsプロジェクトそのものにも存在し(config/application.rb)、何らかの機構でApplicationモデルのAutoloadingが上手くできなかったようです。そこでRailsのイニシャライズ直後にapp/models/application.rbをrequireしておくような設定がconfigに書かれていました。

悲しいかなRailsではrequireしたファイルは通常のReloading時にはアンロードされないという性質があるために、今度はApplicationモデルのReloadingができない悩みを抱えていたと思われます、だから強制的に都度定数削除をするconfig.reload_classes_only_on_changeをfalseにしたのではないかと考えています。

今回のバグ修正においてこの部分も見直し、結果的にrequire_dependencyを利用しました。一応ですがRailsガイドではrequire_dependencyはラストリゾートであり最初に検討すべき手段ではないと書かれているのでご注意ください。なお後述するZeitwerkモードの導入でこの対応も不要になりました。

Autoloadingに関するRailsの設計上の疑問と直近の動向

もう少しだけこの定数のAutoloadingについて触れておきましょう。

紹介したエピソードではdevelopment.rbの設定ミスとVueを用いたフロントエンドの分離が競争状態を生んだエラーの理由だと説明しましたが、このエラーはどのRailsプロジェクトでも一般的に再現性があります。

エラーが起きる条件は「2本以上の同時リクエストを受けとりReloading & Autoloadingが2本同時に走ること」ですが、通常の開発のなかでファイルを修正した場合この条件を満たしてしまいます。

実際、フロントのコンポーネントにおけるcreatedフックなどで2本以上のAPIが同時に呼び出されるページでは、Rails API側のファイルを修正すると直後の画面リロード時だけはこのエラーが出ます(出ない時もあります)。ReloadingとAutoloadingが2本走って競争状態が生まれるためです。そのままもう1度画面リロードするとエラーは出なくなりますが、これはReloadingもAutoloadingも走らないからです。

このエラー再現性についてはReproduce用の個人プロジェクトも作って確認しました。

github.com

「これ、フロント分離しているプロジェクトだと悩む人多いんじゃないか?」と思ってRailsのイシューが既にあるか見てみると、確かに1件「LoadError when multiple threads try to load the same namespaced class」というイシューで修正の議論もなされていたようですが、Rubyの改修も必要な内容になっており、最終的には修正は行われていない様子でした。

その代わりだったのかはわかりませんが、Autoloadingの新しいやり方がRails 6.0から導入されています。

Zeitwerk(ツァイトヴェルク)というgemが正式に導入され、そもそものconst_missingに依拠したAutoloadingが見直されました。

なので、Zeitwerkモードを利用していれば、今日紹介したエラーに悩まされる心配はありません。Rails 6.0以前のAutoloadingの方法はClassicモードと呼ばれていますが、これはRailsガイドでdeprecatedとされているので早めに移行しておきましょう。

config/application.rbに1行追加するとZeitwerkモードに移行できます。

config.load_defaults "6.0" # Zeitwerk
config.autoloader = :classic # Classic

私の所属するプロダクトではRailsのバージョンこそ6に上げていたものの、こうした周辺機能のマイグレーションに気づけていない部分もあったので、次回以降気をつけていきたいと思います。

参考リンク

RAILS GUIDES

https://guides.rubyonrails.org/autoloading_and_reloading_constants_classic_mode.html
https://guides.rubyonrails.org/autoloading_and_reloading_constants.html

Rails GitHub

https://github.com/rails/rails/blob/main/activesupport/lib/active_support/dependencies.rb
https://github.com/rails/rails/blob/main/activesupport/lib/active_support/inflector/methods.rb

Rails Issue

https://github.com/rails/rails/issues/33209

Zeitwerk GitHub

https://github.com/fxn/zeitwerk#pronunciation

【フォースタ テックブログ】「ユニコーン企業のひみつ」を読んで自社の開発組織と比べてみた

こんにちは。サーバーサイドエンジニアの速水です。
今回は、「ユニコーン企業のひみつ――Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方」という書籍のレビューを投稿させていただきます。

www.oreilly.co.jp

フォースタートアップス(以下、フォースタ)でも、スクラムをベースにしたアジャイル開発を行っているわけですが、事業環境や組織は日々変化しており、どう変化に対応していくべきなのか、悩みは尽きません。
ユニコーン企業のひみつ」は、SpotifyAmazonGoogleFacebookといったユニコーン企業はどうやっているのか?というのをヒントに、何万人もの従業員を抱える企業がなぜスタートアップのような組織・環境であり続けられるのかを紐解いていく内容となっており、印象に残ったところ、自らに引き寄せて考えたこと、感想をまとめました。

今回の書評は、弊社の村林(@bayashimura)がこちらのツイートを見つけたことがきっかけになっています。

村林はフォースタの開発組織であるテックラボのアジャイル旗振り役として、振り返りやチームビルディングを浸透させてきました。社内向けのプロダクト「タレントエージェンシー支援システム(SFA/CRM)」を開発しているチームでは、振り返りのファシリテーターを交代で行うなど、スクラムの要素を取り入れながら開発プロセスの改善に努めています。

tech.forstartups.com

tech.forstartups.com

不確実性だらけだからこそ学習が大事

スタートアップで取り組むソフトウェア開発は、不確実性だらけであると語られています。

「答え」が既にわかっているというつもりなら、それは思い込みだ。

わからないから、たくさん実験をして、失敗をすることもあり、ただ毎回インパクトと価値を計測しているから、前に進んでいける。わからないから、「答え」を見つけるために、各自が考えて、手を動かして、学習していかなければならない、と説かれていました。

自らに引き寄せると、やはり普段の仕事の内容は、「答え」がわかっているとは言えません。議論した上で「この方向だよね」という合意はあれど、それが絶対に正解とは言い切れないし、アプローチ方法も様々です。

テックラボでうまくできていると感じるのが、アプローチへの寛容さと、失敗に対する心理的安全性(失敗をしてはいけないという思い込みは払拭する)です。フロント、バックエンド、様々な視点から実現方法を考えるのはもちろん、そもそも手動の作業で同じような物を見せて解決できないか、ヒアリングして課題をもう少し深堀りたい、といったこともフラットに出し合うことができます。失敗はしないに越したことはありませんが、バグが入ったまま機能をリリースしてしまった、レビューでバグを見逃してしまった、という時もあります。そういった時に、チーム全体で今できるリカバリ策を考え、対応する姿勢があるからこそ、苦手な領域の開発であっても挑戦してみよう!という気になります。

一方、インパクトと価値の計測においては、まだまだ課題があるように感じています。社内向けプロダクトは、ビジネス上の価値とプロダクトの価値がぴったり一致はしないため、指標の設定、評価には苦戦しています。

自律、権限、信頼

ユニコーン企業ではアジャイル開発が企業文化に染み込んでおり、わざわざスクラムマスターを置いて形式としてのスクラムをやる必要はないようです。とても自律したチームであり、信頼があるからこそ、権限もしっかり持っています。ですが企業としてバラバラにならないための仕組みとして、"カンパニーベット"を設定するということもやっているようです。
※カンパニーベット(Company Bet):会社が取り組みたい重要事項を、終わらせたい順に並べたリスト。小さな目標ではなく、大きな取り組みに関するもの。

企業においてチームに権限を渡すというのは、そう簡単なことではないと思います。しかし、学習のスピードを出すためには必要なことでもあります。本書の中では経営側の視点で「現場の言い訳を取り除く」と表現されていますが、現場としても権限をもらう以上、本当に自分ごと化できないと辛いことになりそうです。渡す側、もらう側、双方の信頼あっての権限移譲で、それがあっての自律したチームなのだと理解しました。

また、見習いたいポイントとして、データ(数値、ファクト)と解釈(どういう意味を見出したか、仮説)を、フレームワークとして切り分けている点がありました。本書では、DIBBという、やるべきことを系統立てて検証するための意思決定フレームワークが紹介されており、データ(Data)、インサイト(Insight)、確信(Belief)、ベット(Bet)に分解して、整理されていました。
私はこれまで、人への伝わりやすさという観点で「主張+根拠づけとしてのデータ」をまとめてとらえることが多かったのですが、学習の最中ということを考えると、データと解釈をわかりやすく分けて共有した方がチームとしての学習は進むのかもしれません。私も意識してやってみようと思います。

まとめ

著者Jonathan Rasmusson氏のSpotifyでの経験を中心に、ユニコーン企業におけるソフトウェア開発で組織として気をつけていることがわかりやすくまとまっている1冊でした。特に、アジャイル開発におけるスクラムの形式的イメージを強く持っている方にとっては、それが浸透した先を知れる内容となっているので、面白いと思います。

フォースタではエンジニアを募集中です!
開発スタイルや雰囲気はもちろん、事業や技術スタックに関するお話もさせていただきますので、ご興味をお持ち頂けましたら、下記「話を聞きに行きたい」ボタンより気軽にエントリーいただければ幸いです。

【フォースタ テックブログ】CTOが組織をサッカーで例えてみた話

始めに

こんにちは。フォースタートアップスでCTOをしている戸村(@KenjiTomura)です。

最近、サッカー界では欧州スーパーリーグ問題が話題ですね。

クラブ運営の枠に止まらず、ヨーロッパのサッカー文化にも波及する様々な問題が出てきおり実現は難しそうですが、私はサッカーを見ることが好きなので純粋に強いクラブ同士の試合が多く見られるようになるということは楽しみだったので少し残念です。

私がCTOを務めるフォースタートアップスの開発チームにおいても、私の好きなサッカーの哲学を取り入れながらチーム作りをしているので、今回は私が目指している開発組織について記事にさせていただきました。

最近の開発について

開発はプロダクト作りにおいても、技術においてもどんどん進化していっています。さらにはその進化のスピードもどんどん早くなっていっているのは、皆さんも感じているところだと思います。

プロダクトの規模も複雑性も増えていく中で、1人の人間が全ての最新の技術を押さえ、社内の全てのPull Requestを全て確認し、全てのコードを把握し、問題が起きないように開発をしていくことはどんどん難しくなっています。

そのため、CTOや開発責任者が開発の方向性を決めながら、細部はメンバーそれぞれに権限を与え、判断を委ねていくべきだと私は思っています。

この状態はターンのある野球などのスポーツよりは、ターンがなくリアルタイムに進むサッカーが近いのではないかと思います。

そこで私は、サッカーの戦略の中でも1974年W杯のオランダ代表が唯一完成させたと言われているトータルフットボールを目指しています。

トータルフットボールについて

トータルフットボールとはなんなのでしょうか。
以下はWikipediaのトータルフットボールの解説を少し抜粋しました。

1950年代初期に、オーストリア人のヴィリー・メイスルによって考案された「渦巻き」理論がトータルフットボールの原案であるとされている。
それは、個々の選手が思いのままにポジションチェンジを繰り返し、渦を巻くようにチームがダイナミックに機能するというものであった。

ただ、これを可能にするには、選手一人一人が同じくらい高い技術と戦術眼を併せ持ち、なおかつかなりのスタミナが必要だと考えられていた。

さらに、動きの連続性を持ったその渦が、自ら意思を持つように前進と後退を繰り返すためには、渦の中心にいながら、渦の外からその流れを俯瞰できる稀有なビジョンを有し、渦をコントロールするだけの並外れた影響力を具えた選手が必要であった。

何といっても、最大の特徴はポジションが存在しないことである。
当時のオランダ代表にとってポジションとは「キックオフ時の立ち位置」というだけのものであり、攻撃時には選手は積極的にボールを持つ選手を追い抜いて前線に飛び出し、守備時にはFW登録の選手もカバーリングに入る。

サイドバックの選手が前線へ飛び出せばウイングの選手がそのスペースを埋めに下がる。
まさに全員攻撃・全員守備である。

また、“スペース”を最大限活用する考え方から、ウイングを中心としたサイドアタックを積極的に使い、ワイドな攻撃を展開した。

このサッカーを支えたのは選手全員の高い技術、戦術眼、スタミナもさることながら全員が高い守備意識を持っていたことも忘れてはならない点である。

反面、この戦術は理想的だが非効率的とされ、完全分業でポジションを固定した方が効率が良いといった説もあるが、後に様々なチームによって改良され、現代サッカーの戦術に浸透していく事になる。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/トータルフットボール

このトータルフットボールは1974年W杯のオランダ代表ヨハン・クライフが唯一完成させたと言われています。 クライフ以後のサッカー界でトータルフットボールを実現したチームは無いとされています。
しかし、後にクライフはバルセロナというクラブの監督となり、その時に司令塔としてプレイしていたグアルディオラへと系譜が繋がれ、形を変えてバルセロナの中にトータルフットボールの新しい形が活きていると私は思っています。

そして、グアルディオラバルセロナの監督になり、メッシを中心とした美しいサッカーをバルセロナで実現したと思っています。

私はこの形の組織を目指しています。

トータルフットボールのような開発組織とは

トータルフットボールのような開発組織とはなんなのでしょうか。
重要なポイントとしては以下の3つです。

  • 激しいポジションチェンジにより、明確なポジションが存在しない
  • 高い位置からのプレス & オフサイドトラップ
  • 選手全員の高い技術、戦術眼、スタミナもさることながら全員が高い守備意識を持つ

一つずつ深掘りしていきましょう。

激しいポジションチェンジにより、明確なポジションが存在しない

クラウドインフラが出てきて以降、エンジニア1人が受け持つ領域はどんどん増えています。
その為、フロントエンドエンジニアがサーバサイドに業務領域をオーバーラップしていくこともあるだろうし、その逆も同じ様にあります。

それはさらにサーバレスなどの技術が進むことによりフロントエンドエンジニアがインフラを理解し、触っていくなどのオーバーラップも拍車がかかっていくと感じています。

弊社でも得意領域などはありますが、あまり領域を明示せずに様々なところにポジションチェンジしながら開発に取り組んでもらうことが多く、エンジニアはエンジニアリングだけではなく、ユーザヒアリングから仕様検討も行うことも多くあり、それが結果的に良いプロダクトを作るための基になっています。

高い位置からのプレス & オフサイドトラップ

サッカー用語で、プレスとはボールを持っている相手にプレッシャーをかけたり、パスコースを塞いだりすることを言います。

オフサイドトラップは説明が難しいので詳細な説明は割愛しますが、相手の攻撃を防ぐディフェンスの戦術の一つです。

このポイントを簡単に説明すると、プレスやオフサイドトラップなどのディフェンス戦術を用いて、守備の時間を減らすことです。

開発において攻撃とはアウトカムを出すこと、ストーリーポイントを消化することなどで、守備とはバグ・障害の対応、手作業(Toil)の運用、リファクタリングなど、やらないといけないが必ずしもプロダクトを前に進めるものではないことだと思っています。
開発においては、ここで定義している守備の時間を減らし、攻撃の時間をできるだけ増やすことが大事です。
守備の時間を減らすためには以下のようなものが挙げられますが、こういったものを適切に取り入れながら守備の時間を減らすという戦術が重要だと思っています。

  • CI / CD
  • Toilの撲滅
  • 明らかに負債となるコードを減らす
  • ポストモーテムによる失敗の共有
  • マネージドサービス、SaaSの活用
  • インフラやコードクオリティなどの適切なモニタリング

そして、より良質な攻撃をするためには、闇雲にコードを書き続けることは正しいとは思っていません。
戦略、プロダクト、ユーザなどの深い理解をした上で書かれたコードは良質なコードになりますし、長くリファクタリングをしなくてもバグを生みづらいコードになっていきます。

選手全員の高い技術、戦術眼、スタミナもさることながら全員が高い守備意識を持つ

特にこのポイントが一番重要だと私は思っています。

要は高いプロフェッショナル意識をもち、1つ1つの仕事に怠慢なプレーをしないということです。
さらには、選手全員というところも大きく重要なポイントです。

サッカーでいえば、一人でも連携が取れていない選手がいるだけで、その選手から連携が崩れボールが取られてしまったり、オフサイドトラップがうまくいかず失点しまったりということが容易に想像できます。
エンジニアも同じで、どんなに使いやすく美しく書かれた優れたコードでも、1人のミスによって、セキュリティの問題に発展し大切なデータを失ったり、サービスの信用を失うこともあります。

なぜサッカーでバルセロナというクラブが強いのかというと、この全メンバーのゴールへ向かうビジョンの一致、高い戦術理解の能力、ハイレベルな一つ一つの技術など、当たり前のレベルが高く設定されていることだと私は思っています。

海外のサッカーの試合を見ていると、同じリーグに属しているクラブチームでも上位のチームはパス精度、パススピード、トラップ精度が圧倒的に高いと思います。そこから相手の守備を崩していき、ゴールにつなげる。

パス精度が高いことによりトラップのしやすいパスになり、トラップ精度が高いことによりパススピードが上がってもトラップのミスが少なくなり、高速にパスを繋げていくことで相手の守備が崩れ、パスがどんどん通りやすくなっていきます。

しかし、この中にトラップ精度が悪い選手などが混じってくるとパススピードを下げないといけなくなり全体の精度が下がっていき、通るはずだったパスが通らなくなってしまいます。

開発組織も同じです。 それぞれの当たり前のレベルが高いからこそクオリティの高いプロダクトが作れます。 デザイナーがどんなに優れていても、フロントエンドエンジニアがそのデザインを再現できなければ意味がありません。 その逆も同じでフロントエンドがどんなに優れていても、デザイナーが優れていなければUXの優れたプロダクトは作れません。

サーバサイドも同じです。

最近マイクロサービスという話が良く出ていますが、分割するポイントを間違えるとリクエストが増え、あっという間に遅いサービスになってしまいます。

さらには一回マイクロサービス化して終わりではなく、サービスは成長していくものなので、新しい機能を追加する度に適切なサービスに機能を追加していかないといけないですし、既存ではなく新規のサービスとして作るなどの判断をしていかないといけません。 そんな状況でプロフェッショナルではない怠慢なプレイをしてしまうと、プロダクト全体のクオリティの低下に繋がってしまいます。

まだプロダクトのクオリティ問題で済んでいれば良いですが、これがセキュリティ問題に発展してしまったとしたら目も当てられません。

最後に

このトータルフットボールという考え方は完成形が難しく、元日本代表監督のイビチャ・オシムも「目指しているのはトータルフットボールだ。ただしそれは永遠に実現されないが。」と言っています。 このトータルフットボールは個人の力に大きく依存するので、得意領域や専門性は必要性ですがオールラウンダーな人を採用していかなければいけません。

それは求人票で厳密に定義された職務を遂行してもらうジョブ型雇用ではなく、優秀なメンバーを採用し、その人にやることを合わせていくようなメンバーシップ型雇用になっていくと思います。 ですが、組織は往々にして大きくなるにつれてジョブ型雇用に組織全体を変えていかないと難しくなると言われています。
フォースタートアップスの開発組織も大きくなるにつれ同じ悩みにぶつかる可能性もあるでしょう。

トータルフットボール的な組織の完成形はオシムの言うようになかなか難しいのかもしれませんが、最良の形を模索しながらより良い組織を作っていきたいと思っています。