for Startups Tech Blog

フォースタ社員のエンジニアたちが思い思いのことを書き綴ります。

デザイナーが入社して4ヶ月で、業務を理解し課題を見つけるために行ったこと

目次

はじめに

はじめまして。フォースタートアップス株式会社のUI/UXデザイナーいのうです。
ヒューマンキャピタル支援システム(社内プロダクト)を担当しています。
このシステムは、主にヒューマンキャピタリストが日々の業務で活用しており、支援業務に欠かせない基幹システムとなっています。

デザイナーとして新しい環境に飛び込んだとき、「事業会社のデザイナーは、入社後どのようにドメイン理解を深めているのだろう?」と疑問に思い、他社デザイナーのブログ記事を探した経験があります。

そこで今回は、私が入社後4ヶ月間で取り組んだ業務理解から課題発見、そして優先順位付けまでを、実体験を元に共有します。
私と同じように、新しい環境に飛び込み、何から手をつければいいか模索しているデザイナーの方々へ、この記事がヒントになれば幸いです。

プロダクトの現状把握と分析

1. 業務フローの可視化

社内資料の読み込みに加え、サービスブループリントを用いました。サービスブループリントでは、実務担当者・顧客・システムとの接点を時系列で可視化します。
実務上のより詳細なプロセスは残されているものの、まずは全体像を整理したことで、各ステークホルダー間の情報の流れや、プロダクトが介在するポイントを把握することができました。

サービスブループリントの画像
サービスブループリント

2. ウォークスルー & ヒューリスティック分析

ユーザー視点でメイン導線のウォークスルーを実施し、全画面のキャプチャを元にヒューリスティック原則に照らし、評価を行いました。
ヒューリスティック評価とは、経験則に基づいてユーザビリティを評価し、UI上の課題を発見する手法です。今回は、ニールセンの「10原則」を基準としました。
具体的にはキャプチャした各画面に対して、10原則のどの観点に該当するかを明記した上で、改善コメントを残していきました。
例えば、【Efficiency : 柔軟性と効率性】の観点から、課題や改善点を記載するといったように、原則とセットで気付きを言語化しました。

3. システム構造の理解

ナビゲーション構造や画面遷移図をFigJamで可視化し、システム構造の整理を進めました。
この過程で、既存設計の工夫されている点と、課題を抽出しました。

このようなFigJamのテンプレートをベースに実際の遷移図を作成しました。

4. ライティングの洗い出しと改善案の検討

プロダクト内のテキスト全体を調査し、表記揺れや改善の余地がある表現を洗い出しました。
これらをNotionに集約してプロジェクトチーム内で共有し、ユーザーにとってより分かりやすい表現や適切な表現についての議論を進めました。

ユーザー理解

1. ユーザーテストへの同席

実際にユーザーがプロダクトを操作しているところを間近で見ると、想定していなかった操作手順や、見落としていた視点など、多くの発見がありました。
その場で得られたフィードバックは、具体的な課題の抽出につながりました。実際に、現場の実態を直接自分の目で見たからこそ、得られた気づきであり、その重要性を改めて認識しました。

2. ユーザーインタビュー

実務で利用しているユーザーへのインタビューを実施しました。
設問設計から行い、実際の業務担当者ならではの視点や、作り手側では気づきにくいペインポイントを確認することができました。

課題の構造化と優先順位付け

1. 課題の抽出と分類

まず、自分自身の視点で気づいた課題やインタビューを行った中で抽出された課題をFigJamの付箋に集約しました。
次に、「ユーザーに与える影響度」と「施策にかかる時間」の2軸でマッピングを行いました。

縦軸にはUXピラミッドというフレームを元に、ユーザーに与える影響度を4段階に分けました。
横軸はギャレットの5段階モデルを元にスコープを分けています。

抽出した課題をギャレットの5段階モデルに分類したことで、自分が現時点でどのレイヤーを理解できているかが明確になりました。
表層(UI)については多く気づくことができましたが、上層の要件・戦略に関わる課題は業務についてのより深い理解が必要だと感じました。
この分類はrootさんの課題の分析と改善施策の発散プロセスを参考にしています。

課題の抽出と分類を行ったFigJamの画像
課題の抽出と分類

2. 課題の優先順位付けと実施方向性の検討

自分自身の気づき、要望、ユーザーフィードバックに基づいて抽出した課題をNotionのデータベースへ集約しました。
各課題に対して想定工数や優先度を定義し、プロジェクトチーム内で対応方針の議論を行っています。
これらの情報はNotionのプロパティで一元管理しており、プロジェクトの全体像の把握だけでなく、個別の課題における背景や経緯を記録するログとしても活用しています。

4ヶ月を通して得た気づきと今後の展望

この4ヶ月間を通じて、最適な情報設計は、業務やユーザーへの理解があってこそだと痛感しています。

また、分析結果をもとにマネージャーやPM、CTOへプレゼンを重ねたことで、意思決定層に向けた資料構成や伝え方のスキルを磨くことができました。
発見した課題をどのように改善提案へと繋げるか、一連のプロセスを経験できたことは、今後の糧となりました。

また、今後自分自身のドメイン知識が深まったとしても、「現場で業務にあたっているユーザーこそが最も詳しい」という事実を忘れず、常にユーザーの声に耳を傾ける姿勢を大切にしていきたいです。

現在、2026年度のロードマップに取り組んでいますが、さらなる情報の深掘りが必要な箇所が出てきました。
そのため、現在は設計の精度を高めるためのユーザーインタビューを計画中です。
今後もユーザーに寄り添い、ビジネスにおけるKPIの双方に寄与できる視点を持ち、プロダクト改善に取り組んでいきたいと考えています。

何から手をつければいいか悩むデザイナーの方へ

新しい環境で「何から手をつければ…」と悩んでいる方に、私自身の経験からお伝えしたいのは、まずは一人で完結できることからスタートすることです。

組織によってはUX文化が浸透していなかったり、ドキュメントが整備されていなかったりすることもありますが、まずは自分で動ける範囲から手をつけてみるのがおすすめです。

  • 社内情報の収集:社内ドキュメントやSlackログを読み込み、文脈を拾う
  • AIの活用:業界の全体像や専門用語をAIに整理してもらい、基礎知識を把握する
  • 外部リソースの調査: 業界レポートやカオスマップを探して読み、市場の全体像を掴む

まずは自分で把握できる範囲から整理し、カスタマーサクセスへのヒアリングや商談への同席など、段階的に周囲を巻き込む範囲を広げていくのが、理解を深めるための着実なステップになるはずです。